2012年07月07日
考えない状態が最も怖い
昨日は、かつて私が企画サイドにいた、サラヤ株式会社様のセミナーにお声掛けいただき参加してきました。
このセミナーはもともとは食品安全、食品衛生のテーマを扱うので、
参加される方々は品質管理や顧客サービスなどの実務者がほとんどです。
内容もはじめはそのテーマが多かったのですが、昨今では他にもさまざまなテーマを扱っています。
今回は
『大震災に学ぶ、食品取扱い企業の危機管理』
リスク管理として非常に興味深いテーマです。
また、経営者としても興味をそそられます。
3つの講演それぞれ勉強になりましたが、もっともインパクトを受けたのは藤田八束先生のお話。
震災時、まさに現地におられました。
食品安全システムや水産物の地域ブランド支援をコンサルティングされている先生です。
先生は昨年の3月11日、宮城県の気仙沼で仕事をされていました。
現地の水産加工メーカーの工場で工場監査をされていたそうです。
14:30に第一工場の監査が終わり、15:00からの第二工場の監査までの間。
ちょうど第二工場について応接室でコーヒーを飲もうとした瞬間、地震はおきました。
藤田先生は阪神大震災で西宮のご自宅が全壊しました。
その経験があるため、すぐに机の下にもぐり、お怪我することなく身を守ることが出来ました。
揺れが収まってすぐ、その工場を経営する社長が飛んでこられ、おっしゃったそうです。
「先生!これからが大変です!間違いなく津波がきます!」
まず、ここが我々関西の人間と違いますよね。
我々は地震のあとの津波の脅威の認識がない。
結果的にすぐに近くの市庁舎に避難され、大変な目にあわれながらもご無事でいらっしゃいました。
助かった方とそうでなかった方。
いろんな偶然やどうしようもない要素があった中、「逃げるための方法」を理解していた方は高い確率で助かったそうです。
つまり、どこにいれば絶対安全だということではない。
その時にどうすればもっとも安全なのか?をわかって行動できるか?考えることができるかどうか?
津波の場合は高台に逃げる。
でも高台が常に安全なのではない。
山の上なら土砂崩れもある。
気仙沼の方々はこれまで訓練で鍛えられていた。
先述の社長のように「これからが大変だ!」とご理解され、学習されていた。
これはすごいことだと思いました。
リスクは見えないようにしてはいけない。
リスクを見えるようにしておき、それに対応できるよう考える能力を身につけておく。
リスク管理とは防波堤を作って守るものではない。
それをするとマインドセット(考えない状態)されて、考えない人間を生む。
このことに大きなインパクトを受けました。
これは震災に限りませんよね。
あらゆるリスクに通じます。
「自己責任」のなさはこのマインドセットに由来すると思っています。
過去に学ぶ、そこから考える、そして行動できるよう訓練する。
これが大変重要なのですね。
藤田先生には私が新入社員だったころからいろいろお世話になりました。
久々にお会いしましたが、熱いコンサルタントの先生だと改めて実感。
元気をいただけました。
Posted by 新名史典(しんみょうふみのり) at 09:09│Comments(0)
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